EHD and Electrostaic Propulsion Devices
電気流体力学と静電気力による推進装置
高電圧電源の開発 超軽量化
2021. 8
2021.9.6
2024. 7.30
2024. 8.7
2024. 8.21
キーワード; 金属の分極、電荷、静電容量、電界、大気イオン密度、弱電離プラズマ
Keyword; EHD, Electrostaic, Propulsion, Charges, Capacitance, Polarization effect in Asymmetrical Metal Structure, Plasma
軽量化高電圧パルス発生装置の開発を行った。
装置に搭載可能な超軽量な高電圧パルス電源の開発
EHDデバイスに必要な軽量の高電圧発生回路に関して、開発を進めている。
問題点)
1)従来長らく用いられてきた高電圧発生装置には、必ずコア材料が存在する。この重量がとても大きい。
また、コイル巻き数が多すぎる。
フライバックトランス オーリング状のコアがある。 重量は、数100g程度。
自動車とバイク用の点火コイル、コイルの巻数 数10000回、コイル直径は50μm
絶縁用のプラスチックコートがなされている。これでは重過ぎてEHDデバイスには、搭載できない。
2)駆動回路の問題
FETを複数個使用した回路が多々ある。
できる限り単純な回路を使用したい。
高電圧を用いることによる素子破壊が頻繁に生じる。
駆動用回路としてトランジスタを用いたSlayer Exciterがある。
ただ、出力が低い。
FETを1個のみ使用した自励発振型回路を用いたい。
解決策)
1)テスラコイル(TC) 無線送電等に用いられる空芯トランスを利用した変圧器
TCの小型化+単一FETを用いた発振回路
直径 2cm 高さ 3cm 出力電圧 50kV 駆動電源に依存
重量 1g(コイルのみ)
2段 Cockcroft-Walton circuit 出力電圧30kV
重量 2g
EHD推進機を動作させるためには、コックウォルトン(CW)回路等、整流回路、DC出力化が必要
2)CW整流回路
課題) 1.軽量化
2.高電圧出力 DC100kV
注意)本当に長らく勝手な思い込みがあった。他のインターネットの記事で、TCの整流に関して動画や記事があり、TC出力が整流ができないと書いてあったのでそれを鵜呑みにしていた。失敗である。よくあるパルスモードでのTC動作では整流しても高電圧を得ることは困難であったが、そもそも条件が違う。CW動作でのTCの整流は可能であることを実験で確認した。勝手に高電圧出力の整流は無理と思い込んでいたが、これが誤りであった。実験でうまくいかない原因の1つが、強い思い込み、勘違いである。
実験では100kHz以上の周波数でも整流が可能であることを確認した。昔と今、10年前と後ではダイオードの特性が違うのか?逆回復時間が周波数の逆数、1周期よりもかなり短いので整流が可能。
開発した高電圧電源の回路図
小型軽量テスラコイル
駆動は、単一のMOSFETで行う。
入力電圧 30−50V
電流 -2A程度
スレイヤーエキサイターと同じ自分励起式のテスラコイル
余計な部品や制御のための回路が不必要。
ここで、正弦波を発生。
出力 テスラコイルで5kV出力 正弦波を増幅して出力
従来、CW回路の整流には+と−の2線が必要であったが、
トップロードから単一線で出力可能
その線を直接CW回路のコンデンサに接続
CWで整流し直流高電圧を得る。
この出力は、外部コンデンサのスイッチングでパルス化される。
3)高電圧パルス発生装置
外部コンデンサを用いたのこぎり状パルスの発生回路を利用
2024. 7.30
追記
TCの小型化の進展について
しばらくこのページの更新がありませんでした。
EHDデバイスの研究ばかり集中していて、肝心の高周波電源の開発がおろそかとなっていました。
しかし、軽量化を行わないと現状では電源がEHDデバイスに搭載できません。
電源だけで100−200gそれ以上あります。
結論から言うと、大幅に小型化することに成功しました。
そのTCを下記の図に示します。放電長さ、つまり、出力電圧はほぼ同等です。
(a)が去年までに開発したTC,(b)が小型化を目指して直径を1cmに減らすことができたTCです。
軽量化のためには小型化が必要。小型化のためにには何をすればよいか?
ターン数を同じとすると、直径を小さくする。 これは、高周波化につながる。
ただ、自励発振が非常に困難となる。発振させるには、特別な工夫が必要です。
直径を3cmから1cmに減らすと、ボビン重量が大幅に小さくなる。コイル重量を1/3とすることができた。
つまり、TCの部分だけですが、重量を1g以下とすることが可能となりました。
この出力周波数でもシリコンの整流回路で直流高電圧に変換できます。まだ周波数的に余裕があり、改良の余地もあります。
図 開発したSSTCにおけるTC
(a)高さ約10cm 共振周波数 1MHz (b)高さ約5cm 共振周波数 2.3MHz オシロスコープで計測。
2024. 8.7
追記
高耐圧・超軽量コンデンサの開発
上記に示したように、テスラコイルの小型化に成功しました。 30kVを超える放電が得られるTCで、コイル重量も1gに減らし、ボビン重量も大幅に削減(1/10)
とすることに成功しました。これで小型のTCの開発は行き着くところまで到達したと考えます。
しかしながら、高耐圧コンデンサについて考察してみる。
高耐圧コンデンサが市販されている。材料は、セラミック、プラスチックである。
そもそも、高耐圧コンデンサは色んな機械に使用されているのだが、軽量飛行機に搭載することは想定されていない。重すぎる。
10kV耐圧のセラミックは5gとかざらに重量があります。CW回路に使用すると簡単に100gを超えてしまいます。
これでは、EHDデバイスに搭載することができません。
ということで、超軽量コンデンサの開発を行いました。コンデンサが蜜に直列接続された形になっています。
耐圧は40kV?重量は0.5g以下で充電しても放電は生じません。
軽量化されたTCとセットで用います。EHDデバイスの浮上にも使用できることを確認しました。
電源の搭載が見えてきました。
さあ、どんどん進めていきましょう。
図、超軽量コンデンサ カスケードタイプ 耐圧40kV程度?かなり大きいです。重量は0.5g以下。
2024. 8.21
追記
高耐圧・超軽量コンデンサの開発 その2
上記の昂耐圧コンデンサ、自分で言うのもなんですが、非常に性能が良い。
1)高電圧に大して高い耐久性がある。
2)長時間の使用が可能。
3)超軽量。 0.1gオーダ。
繰り返しとなりますが、超軽量の高電圧コンデンサを作製した経緯ですが、EHDデバイスに電子機器を搭載することを考える。
市販の高耐圧コンデンサは、高電圧に耐えることは可能。しかし、結局、重い。搭載できない。
結局、浮上の力がどうやって自重を上回るかですが、これをクリアすることを考える。
浮上力が大きければ問題ないのですが、そんなに大きな力が得られない。 少ない浮上の力で、どうやってデバイスを浮上させるか?
自重を極力減らすことが必要。
自重を減らす。=>搭載する電源の重量を減らす。=>高電圧発生装置 CW回路の段数を減らす。
CW回路の段数を減らす。=>出力電圧が低下。=>浮上力の減少 =>あれ。おかしいな。できないじゃないの?ここでみなさん止まっている。
推進力が例えば5gとします。CW回路の自重が6g、とてもではないが搭載して飛行できない!
ちょうど良いところを試行錯誤をしながら探す時間が膨大になるが、やるしかない。
CW回路を軽量化できで、出力電圧は同じを実現できました。
2024. 09.12
追記
TCの小型化の進展について
Tesla Magnifier(増幅器)について
EHD推進デバイスの軽量化を図るため、直流高電圧装置CW回路とTCの極小型化を進めています。
2024.08で報告ましたTCの極小型化ですが、写真にある直径1cm、長さ5cmのところで、行き詰ってしましいました。
より小さい直径のパイプに同じ回数のコイルを巻き、高電圧が発生しないかを繰り返し試験しましたが、
1)直径が小さくなると高電圧出力が低下する
ことが明らかになりました。では、これ以上無理か?という話になりました。
いいえ、そうではありません。Tesla Magnifierの話が残っています。
きちんと原理を深く理解しているのか?ここが開発の成功・失敗の分かれ道になります。
テスラコイルとは、伝送線路(共振構造を含む)+高電圧電源の組み合わせと考えることができます。
伝送線路の進行波は出力側が開放の場合、自由振動となり極大に電圧が変化することになります。
電圧波が言ったり来たりで、数10回の往復?まさにレーザーの2枚の鏡の共振器のようにふるまいます。
テスラが開発の過程で、後の方で、変わった形のTCの開発を行いました。
バイポーラTC、円錐型TC、スパイラルテスラコイル、そして、Tesla Magnifierです。
よくよく考えてみると、現在のTCは長い円筒状で最適化されていません。基本構成だけで応用型となっていません。
Tesla Magnifierの理論的な考えを使い、一部の方が研究がされています。しかし、完成形ではありません。まだ工夫が必要です。
伝送線路(共振構造を含む)+高電圧電源部と2つの部品に分ければ、さらなる高電圧装置の軽量化が可能となります。
現在開発中で、直径1cmタイプよりも軽量化が可能であることが分かりました。
後ほど報告します。
図 SSTC Magnifier テスラコイル 増幅器使用型
(a) 先端部 直径5mm、長さ5cm